「声優ユニット『イヤホンズ』の音楽はいいぞ!」という話をしたい。ちなみに声優に関しては知らなくもないけどそこまで踏み込んだことはない。触れた作品のメインキャストはなんとなく把握はするが、これまで声優目当てでアニメなどを観始めたりしたことはない。イヤホンズについても最近知ったばかり。そういうおっさんが書くテキストだ。あたたかく見守って欲しい。
『イヤホンズ』は声優の高野麻里佳さん、高橋李依さん、長久友紀さんからなるユニットだ。先述のとおり声優に明るいとはいえない僕でも3人のことは知っていた。アニメやゲームの消化率は決して良くない僕の記憶に残っているのだから、皆さんご活躍されている方なのだろう。
きっかけは『DEAD OR ALIVE Xtreme Venus Vacation』だった…と書くとパティ役の高野さん繋がりかと思われるがちょっと違って、たまき役の大西沙織さんからである。大西さんの演じるたまきの魅力にハマった僕は、これまでしてこなかった”声優目当てで作品に触れる”という行動をした。
大西さん目当てで幾つかのアニメを観たあと、『音泉』で配信されているインターネットラジオ番組『佐倉としたい大西』にたどり着いた。同番組は大西さんと佐倉綾音さんがパーソナリティを務める、ふたりの自由奔放で軽妙なやりとりが魅力の番組だ。今回はイヤホンズの記事なので多くは語らないが、それまでDOAXVVのたまきや『かわいいだけじゃない式守さん』を経て自分のなかに作り上げられた「大西さん♡」だったイメージに、「大西www」が加わったとでも言っておけばこの番組の魅力は十分伝わるんじゃないかと思う。大西さん・佐倉さんを身近に感じることができる番組なので興味があればぜひ聴いてみていただきたい。
話を戻そう。今年に入って暇な時間があり、その『音泉』でほかの番組も聴いてみようと思ってなんとなく再生したのが『イヤホンズの三平方の定理』であり、その番組で流れてきたのが彼女たちの楽曲『トメハネハラウ』だった。
偶然出会ったこの曲には衝撃を受けた。心を揺さぶられたというか、かき乱されたというか、こんなに自分の中にズンッと入ってくる楽曲は久しぶりだった。楽曲提供はMOROHAのアフロさんだ。MOROHAといえば言葉一つひとつを読み上げるように、絞り出すように歌い上げるスタイルが印象的だけど、この楽曲での彼女たちもそのスタイルを受け継ぐかの如く、語りかけるかのように歌い上げる。これが声優である彼女たちに合うのだ。美しい声で一つひとつの言葉に複雑な感情や想いが乗せられる3分半は心が締め付けられると同時に妙に心地良く、その日のうちに楽曲を購入して今日に至るまで何度も聴いている。
ほかの曲も気になったので、YouTubeの公式チャンネルでイヤホンズの曲を片っ端から聴き漁り、最近CDを1枚買った。3rdアルバム『Theory of evolution』だ。サブスクで幾らでも聴けそうなものだけど、唯一加入しているPrime Musicは最近アルバムどころか特定のアーティストの曲だけを連続再生することすらできない。UnlimitedにするかSpotifiyの有料プランにでも加入しようかと考えていたところで、Amazon限定特典付きの2枚組初回限定版がかなり安くなっていたのでが手が伸びた。最近CDも滅多に買わなくなったけど、やはり世代的にも性分的に物理メディアは所有感があって嬉しい。ブックレットなんかも見ていて楽しいじゃないか。楽曲の方は結局リッピングしてスマホに入れるんですけどね。
またまた余談だが今のAmazonはCDがかなり安い。特にAmazon限定版のCDは発売後しばらく経つと大幅値下げされる傾向があるようで、60~80%OFFなんてザラである。CDを集めるなら今かもしれないぞ。
『Theory of evolution』のなかで最も好きな楽曲は『記憶』。これが収録されていたからこのアルバムを選んだ。
最初はバラバラに聞こえる環境音やメンバーの声がどんどんまとまり重なり合って、厚みのある楽曲になっていく過程が面白い。彼女たちの声も朗読的な語り・ラップ・歌唱と様々な表現が1曲の中に詰め込まれているが、やはり語りの部分は声優としての表現力が充分に生かされていて聴きごたえがある。声優ユニットである彼女たちだからこその完成度だと思うし、声優として楽曲をリリースする意義を追求した果てにたどり着いたひとつの答えなのではないかと思わせる1曲。
『循環謳歌』もなんというか、実験的で面白い。
『再生』と『忘却』というふたつの楽曲を重ねて再生しているのがこの『循環謳歌』。音楽的な教養がほとんどないのでテクニカルな部分を掘り下げることができず申し訳ないんだけど、情景的な部分はなんとなく理解できるような気がする。関わっているクリエイターが違うにも関わらず、先述の『記憶』とテーマに一貫性を持たせている(んじゃないかと思う)のも「これぞアルバムCD!」という感じがした。サブクスの台頭で音楽をアルバム単位の作品として楽しむ時代ではなくなったとよく言われるが、まだまだ捨てたもんじゃない。購入した限定版のDISC2にはこの曲を構成する『再生』と『忘却』が別々に収録されていて、それぞれをじっくり聴けるのも良かった。
他にも疾走感のあるナンバーやアイドルのような可愛らしくポップな曲まで彼女たちの様々な魅力の詰まったアルバムで、久しぶりに新感覚で心地良い音楽に出会えた。手持ちの曲をもう少し聴き込んだらまた別の楽曲・アルバムに手を出してみようと思う。
ファンとしては超新参者だが、これからのイヤホンズも楽しみだ。メンバーそれぞれが声優や歌手として活躍し、時として思い悩むこともあるのだろう。それぞれのステージで経験を積み、そして休む時はゆっくり休んで、その中で得た新しい音を、またいずれ楽曲として届けてくれたら嬉しい。
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